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新型ウイルスによる子どもの死亡、極めてまれ 200万人に1人=英研究

2021年07月31日14:51:27

更新日時:2021年07月31日14:51:27

新型コロナウイルス感染で子どもが重症化や死亡するリスクは極めて低いことが、イギリスの研究で確認された。

英イングランドでは、パンデミックが始まってから12カ月間で、新型ウイルスに感染して死亡した18歳未満は25人だった。研究者はこのデータから、18歳未満のCOVID-19による死亡リスクは200万人に1人の割合だと推測している。

また、基礎疾患や神経系の障害がある場合、最もリスクが高くなるとしている。

この研究の結論は、イギリスのワクチン諮問委員会で協議されている。同国では現在、18歳未満は基礎疾患などの有無にかかわらず、ワクチン接種事業の対象外となっている。

死亡例のほとんどは基礎疾患あり

この研究は、ユニヴァーシティー・コレッジ・ロンドンと、ヨークとブリストル、リヴァプールの各大学によるもの。子どもと新型ウイルスをめぐる研究としては、世界でも最も包括的なものだという。

それによると、イングランドでは2020年3月から2021年2月までに、251人の子どもが新型ウイルスの感染症で集中治療を受けた。これは5万人に1人の割合となる。

また、同期間にCOVID-19で亡くなった未成年は25人と、200万人に1人の割合だった。

研究ではイングランドの公衆衛生データを参照。その結果、COVID-19で亡くなった若年層について、以下のことがわかったとした。

  • 死者の大半が、命に関わる疾患や基礎疾患を抱えていた。25人のうち13人には神経系の障害があった
  • 亡くなった人のうち、過去5年間にこうした基礎疾患が記録されていなかったのは6人だった。ただし、疾患が見逃がされていた可能性もある
  • 新型ウイルス検査で陽性と発覚した後に、別の理由で亡くなった子どもが36人いることを研究が示唆している

入院もまれ

研究者はこれとは別に、2021年2月までの1年間にイングランドで新型ウイルスの感染症で緊急入院した若年層についても調べ、次のことが判明したとした。

  • この期間、約5800人の子どもが入院した。一方、けがを除く他の病気などで入院した子どもは36万7600人だった
  • ICUでの治療を必要としたのは約250人
  • 新型ウイルスによる小児多系統炎症性症候群(PIMS-TS)を起こした子どもは690人
  • 絶対的なリスクは低いものの、肥満の子どもや、心疾患、神経疾患を抱える若者は入院するリスクが最も高い

この研究を主導したラッセル・ヴァイナー教授は、ワクチン接種を含めた子どもをウイルスから守る決定は複雑なもので、この研究だけでなくさまざまな情報が必要だと述べた。

しかしこの研究は、適切なワクチンがある場合、特定のグループに属する子どもたちがワクチンの恩恵を受けられる可能性を示唆していると語った。

「我々のデータ、そして私の個人的な見解としては、我々が研究対象としたグループにワクチンを投与するのは非常に理にかなっていると思う。高い死亡リスクがあるわけではないが、重症化やICUでの治療リスクが、低いとはいえ一般よりは高い子どもたちだ」

その上で、決定の際には、アメリカやイスラエルなどでのデータも考慮に入れるべきだと述べた。

インペリアル・コレッジ・ロンドンのエリザベス・ウィタカー博士は、重症の子どもたちが非常に少ないことに希望を持っていると語った。

また、「このデータは2021年2月までを対象としているが、デルタ株の流行下でも傾向は変わっていない。子どもや若者、その家族に安心してもらえることを願っている」と話した。