大阪市で24日、新型コロナウイルスワクチンの大規模な接種が始まった。政府の接種会場や市の独自会場に高齢者が訪れて待ち望んだ接種を受けた。「一日でも早く」「ほっとした」。市内の高齢者は71万人いる。コロナ禍前の生活を取り戻す一歩となるか。
大阪府立国際会議場(大阪市北区)に設置された「自衛隊大規模接種センター」には、早朝から高齢者がバスなどで訪れた。
同市住吉区の男性(69)は接種後、「気を張る生活が続いていたから、早めに打てて気が楽になった」と話した。母親(96)を介護している。「感染には気を付けているが、変異株はうつりやすいと聞く。母に感染させてしまうことが心配だった」
天王寺区の女性(82)は杖をついて会場を訪れた。肺や心臓の疾患がある。感染して同居の娘や孫にうつすことも怖く、「一刻も早く打ちたかった」と言う。1人で会場に来るのは難しく、近くに住む娘が仕事を休んで車で送迎した。
大阪市鶴見区の吉村晴励さん(75)は、妻(72)と午前7時過ぎに大阪駅から会場に向かう無料バスに乗り込んだ。予約は50代の長男夫婦の助けを借りた。6月に神戸市で孫の結婚式があり、少しでも安心して出席したいという。
大阪市中央区の主婦岩前房子さん(73)も、家族に車で送られてきた。「できるだけ早く打ちたくて娘に予約してもらった。会場内は案内してくれたのでスムーズに打てた」
大阪会場はこの日、約2500人が接種を受けた。午前7時半に開場すると、並んでいた約60人が検温や手指の消毒を実施。12階建ての建物で、受け付けがある5階に進んだ。10ある窓口に分かれ、身分証明書を示して予約を確認。3階と10階に用意された計28個のブース(同日は18ブースが稼働)に向かった。
一人一人ブースに案内され…
2021年05月24日20:29:12
大阪市の集団接種会場の一つ、都島スポーツセンターでは、体育館にワクチン接種や問診を行うブースが設置された=2021年5月24日午後1時30分、大阪市都島区、浪間新太撮影

