ファーガス・ウォルシュ医療編集長
英オックスフォード大学とアストラゼネカが共同開発した新型コロナウイルスワクチンについて、安全性と高い効果が確認されたとする、アメリカでの臨床試験の結果が22日、発表された。
この治験には3万2000人以上が参加した。大半はアメリカだが、チリやペルーでも行われた。
それによると、このワクチンはCOVID-19の発症を79%抑えるほか、重症化は100%防ぐとの結果が出た。
また、血栓をめぐる安全上の問題も確認されなかった。
欧州連合(EU)では先に、このワクチンが血栓を引き起こす恐れがあるとして、接種を一時停止する国が相次いだ。
しかし欧州医薬品庁(EMA)は18日、アストラゼネカ製ワクチンを「安全で有効」と結論づけた。これを受け、欧州でも主要国で同ワクチンの接種が再開されている。
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アメリカでの臨床試験は、コロンビア大学とロチェスター大学がアストラゼネカと協力して行った。この治験では、高齢者への有効性もあらためて示された。
アストラゼネカ製ワクチンをめぐっては以前、高齢者への有効性の証拠がないとして、65歳以上への接種を見合わせている国もあった。
今回の治験では参加者の約5分の1が65歳以上だったが、65歳未満の参加者と同等の効果が得られた。
イギリスでは毎日大勢がこのワクチンを接種しており、それに比べると今回の臨床試験の規模は小さい。
しかしアメリカでも安全性と有効性が確認されたことは大きく、向こう1~2カ月で米規制当局の承認も得られる見通しとなった。
英オックスフォード大学でこのワクチンの治験を主導したアンドリュー・ポラード教授は、「新たなグループでも素晴らしい有効性が示され、オックスフォードが主導した結果と一致したことは素晴らしいニュースだ」と語った。
「あらゆる年齢の人々、そしてさまざまなバックグラウンドを持つ人に広く接種してもらうことで、COVID-19の流行に大きな影響を与えることができるだろう」
ワクチン開発チームのサラ・ギルバート教授は、「さまざまな国のあらゆる年齢層で、このワクチンはCOVID-19に対する高い有効性を示している。パンデミックを終わらせるため、より広くこのワクチンが使われるようになることを願っている」と述べた。
また、ワクチン接種後に体調を崩すケースは常にありえることだと指摘。特に、大人数がワクチンを接種しているとそうした例が出てくるが、ワクチンがその原因だと示すものではないと話した。そうしている間にも、欧州では1日に数千人が新型ウイルスで亡くなっている。
「できるだけ早く、人々を守る機会をつかむことが本当に重要だ。このワクチンは人命を救うものだ」
2021年07月31日14:49:46