フィリッパ・ロクスビー、BBCニュース健康記者
イギリスの国家統計局(ONS)は27日、国内で確認された新型コロナウイルスの変異株について、従来のウイルスよりも感染者に咳や倦怠(けんたい)感、喉の痛み、筋肉痛といった症状が多くみられる可能性があるとの研究結果を公表した。
ONSの研究は、無作為に選んだイングランド在住の約6000人の陽性判定者に基づくもの。
変異株に感染した人が味覚や嗅覚を喪失する可能性は、従来株に感染した人よりもわずかに低いとみられる。
それでも、味覚・嗅覚異常が新型ウイルスの3つの主な症状のうちの1つであることに変わりはない。
英国民保健サービス(NHS)のウェブサイトは、新型ウイルスの3つの主な症状として「高熱」、「長く続く咳」、「嗅覚・味覚の喪失や変化」をあげている。
新型ウイルスに感染したほとんどの人に、これらのうち少なくとも1つの症状が現れている。
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昨年9月にケントで最初に見つかった変異株は、従来のウイルスよりも感染が広まりやすく、現在ではイギリス全土に拡大。感染者の急増を引き起こし、現在のロックダウンを招いた。
また、この変異株はほかのウイルスよりも致死性が高いとする証拠が複数あるが、十分なデータがないため確実なことは言えない。
南アフリカとブラジルで見つかった2つの変異株も広まりつつあるが、イギリスのものほど勢いはない。
ONSの今回の分析では、変異株に感染した人々の症状(陽性判定の1週間前までに報告されたもの)と、従来株に感染した人々の症状を比較した。
これら分析対象となった人々は、昨年11月中旬から今年1月中旬までの間にウイルス検査を受けた。
変異株に感染した約3500人の症状と比率は次の通り。
- 35%:咳
- 32%:倦怠感
- 25%:筋肉痛や体の痛み
- 21.8%:のどの痛み
従来株に感染した約2500人の症状と比率は次の通り。
- 28%:咳
- 29%:倦怠感
- 21%:筋肉痛や体の痛み
- 19%:のどの痛み
変異株に感染した人のうち16%が味覚を失い、15%が嗅覚を失ったことがわかった。
これは、従来株の感染者で味覚・嗅覚がなくなった人の比率18%より、わずかに低かった。
頭痛や息切れ、下痢、嘔吐といった症状については違いはみられなかった。
ウイルス量が増加
ウイルス学者で英ウォーリック大学の分子腫瘍学教授ローレンス・ヤング氏は、中国・武漢で見つかったウイルスと比較すると、変異株には23の変異がみられるとした。
「ウイルスの異なる部分における、これらの変異の一部は体の免疫反応に影響を与え、感染による症状の範囲にも影響を与える可能性がある」と、ヤング教授は述べた。
変異株に感染した人は従来株より多くのウイルスを体内で作り出すとみられ、その結果、体内のより広範囲に感染が及ぶ可能性がある。ヤング教授は、「これが咳や筋肉痛、倦怠感といった症状が多く現れている要因だろう」と付け加えた。
今回の分析は英国内の新型ウイルスの感染状況を追跡する長期的な研究の一貫で、イングランド公衆衛生庁(PHE)、オックスフォード大学、マンチェスター大学が共同で実施した。
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2021年07月31日14:47:37