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インド、新型ウイルス患者の間で真菌感染症が急増

2021年07月31日14:47:19

更新日時:2021年07月31日14:47:19

新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化しているインドで、致死率の高い真菌感染症「ムコール症」の患者が急増し、複数の州がエピデミック(感染流行)を宣言する事態となっている。

インドで広がっている極めてまれな真菌感染症「ムコール症」の致死率は50%と高く、眼球や顎の骨を切除しなければ助からない人もいる。

同国ではここ数カ月で、新型ウイルスから回復した人や回復期にある人を中心に、数千人のムコール症患者が確認されている。

医師たちは新型ウイルス治療に使用されているステロイド剤との関連性を疑っている。

糖尿病患者は特に感染リスクが高く、新型ウイルス感染症COVID-19から回復してから12~15日後にムコール症を発症するとみられると、医師はBBCに語った。

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2州がエピデミックを宣言

インド保健省のラヴ・アガルヴァル次官補は20日、国内の29の州にエピデミック宣言を出すよう求める書簡を送った。

西部ラジャスタン州と南部テランガナ州は同日、エピデミックを宣言した。

エピデミックが宣言されると、保健省は各州で何が起きているのかをより綿密に監視でき、よりスムーズに治療の統合が行えるようになる。

新型ウイルスの感染第2波に見舞われている中、ムコール症患者が全国で何人いるのかはわかっていない。

感染第2波の影響を最も受けている州の1つである、西部マハラシュトラ州のラジェシュ・トペ保健相は、同州でムコール症患者が約1500人出ていると発表した。州都ムンバイの病院はBBCの取材に対し、ムコール症患者の数は昨年1年間では6人だったが、この2カ月間で24人確認されていると語った。

医師たちは、一部の患者では脳に感染が広がらないよう、目や顎の骨を切除せざるを得なかったとBBCに明かした。

インドではムコール症治療薬「アムホテリシンB」を製造する企業は多数あるものの、感染者の急増に伴い在庫不足に陥っている。そのため、患者の家族は闇市場で入手しようとしている。

ムコール症とは

極めてまれな真菌感染症で、土や植物、肥料、腐った果物や野菜によくみられる真菌に感染することで発症する。

ムンバイの眼科外科医アクシャイ・ナイル氏は、「ムコール真菌は至るところに存在している。土壌や空気中、健康な人の鼻の中や粘液にも存在する」と説明した。

感染すると脳や肺などに影響を及ぼす可能性がある。糖尿病患者やがん患者、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染者、エイズ(後天性免疫不全症候群)患者など、重度の免疫不全患者の場合は命を落とすこともある。